NHK地方局とキー局のアナウンサーの違い。仕事内容や地方局のメリットは?

NHK放送局には「地方局」と「キー局」大きく分けると2つあります。

  • 地方局はあらゆる仕事に携わる
  • キー局は分業化

大きな局になればなるほど、アナウンサーは「画面に出て伝える仕事」という立ち位置が大きくなります。

もちろん取材はしますが、取材&出演以外は他の人の仕事というのが強くなります。いわゆる「分業」です。

一方、地方局のアナウンサーはというと、取材の他に、番組の構成や台本を考える「ディレクター業務」・カメラを回す「カメラマン業務」・撮影したVTRを編集する「編集業務」といくつもの業務をこなすのが基本です。

また、民放ではアナウンサーが記者を兼務することも多く、事件・事故が起きた場合にカメラを担いで取材に行くこともあります。

キー局のアナウンサーと地方局のアナウンサーのメリット・デメリットを私の経験も交えながらご紹介をしてきます。

目次

NHKキー局のアナウンサーのメリット・デメリット

キー局のアナウンサーは「画面に出て伝える仕事」という立ち位置が大きくなります。

NHKキー局のアナウンサーのメリット

  • ビッグな人たちと一緒に仕事ができる
  • 歴史的瞬間に立ち会える

政界・経済界・スポーツ界・芸能界・・・etc・・

各界のビックな人たちと一緒に仕事をしたりインタビューができたりするのはキー局のアナウンサーならではの醍醐味です。

また、オリンピックが決まったときなど歴史が動く瞬間に立ち会えるということ。これもキー局のアナウンサーだからこそ味わえることです。

NHKキー局のアナウンサーのデメリット

キー局のアナウンサーのデメリットは

  • 仕事が「分業化」されていること 
  • 企画力・構成力などの番組制作力が培われないこと

取材&番組に出演すること以外の仕事は他のディレクターやカメラマンや編集マンの仕事になるので、自分が「こうしたい」という意見が通りにくいことがあります。

また、キー局のアナウンサーが全員そうだというわけではありませんが、やはり分業化されていることによって「伝える力」や「表現力」などは力が付いても、取材して番組を企画・構成する番組制作力はなかなか培われません。

NHK地方局アナウンサーのメリット・デメリット

地方局のアナウンサーは地方局はあらゆる仕事に携わることになります。

NHK地方局アナウンサーのメリット

取材の他に番組の構成や台本を考える「ディレクター業務」・カメラを回す「カメラマン業務」・撮影したVTRを編集する「編集業務」とあらゆる業務に携われることです。

アナウンサーが番組を企画して構成してカメラを回して編集もするので、必然的に番組制作力が付きます。

そして、自分が「こうしたい」と思っていることが比較的通りやすいというのもメリットです。

自ら取材して番組を企画しているので

  • 「私の番組作りの意図はここにあります」
  • 「この部分を視聴者の皆さんにお伝えしたいから、こういう番組を作りたいのです」

ということを明確に局内で伝えることができれば、意見が通りやすく、自分の思いを形にすることができます。

また、NHKは全国転勤が必須ですが、

各NHKが採用している契約社員のアナウンサーには転勤はありません。

契約社員のアナウンサーが全国レベルのアナウンサーと一緒に仕事ができること・全国レベルのアナウンサーの指導を受けられること、それがNHK地方局アナウンサーのメリットです

NHK地方局のアナウンサーのデメリット

地方局のアナウンサーのデメリットはなんと言ってもキー局のメリットを味わえないことです。

各界のビックな人たちと一緒に仕事をするということはほとんどなかったり、歴史的瞬間に立ち会える機会も多くはありません。

NHK地方局の仕事

地方局は分業化されていません。いくつもの業務をこなすのが基本です。

そして、テレビ画面に出る仕事と企画や取材などの裏方の仕事の割合は1:9、もしくは2:8です。圧倒的に裏方の仕事の方が多いのです。

私もアナウンサーの先輩から、そのような話は聞いていましたが、実際に働いてみると、聞いていたよりもずっと裏方の仕事が多かったです。

NHKの地方局の具体的な仕事内容

私が経験をしたNHK地方局の具体的な仕事内容です。

お知らせの作成

入局して最初に携わった仕事が「お知らせの作成」でした。

テレビ画面に出る「○○観覧募集」だとか「赤い羽根募金のお知らせ」だとか、そういった「お知らせ」の原稿を作成する仕事でした。

しかも、お知らせのネタを選ぶ作業から。NHKは公共放送なので利益は追求できません。そのため、公平性・公益性を重視してネタを決めます。

ネタが決まったら、その内容を取材します。電話取材です電話

まずは、テレビやラジオでご紹介したい旨を説明し、その後、日時や場所・料金・中身について詳しくお話を伺います。

その後、伺った内容を元に原稿を作成しますメモ

原稿が出来上がったら、次の作業は「文字情報=テロップ」の元原稿を作成します。

テレビ画面に出る文字情報を作成する専門の人はいるのですが「どんなタイトルにするか」「どういう文字の並びにするか」「どれが見やすい文字情報なのか」といったことをアナウンサーが決めて作成します。

そして、放送に出せる文字情報が完成したら、自分の書いた原稿の内容と合っているかチェックをします。

相澤静

最初は「アナウンサーなのに、そういう仕事があるのはてなマークビックリマーク」ととてもびっくりしました。

しかし、実際にアナウンサーとしてテレビやラジオに出演する際に、自分で書いたお知らせ原稿なので読みやすい上、内容を理解しているので伝えやすかったです。

ネタ探しと取材

地方局のアナウンサーは自分でネタを探して取材に行きます。

話題は、新聞・各市町村の広報誌・インターネットなどあらゆるものを使用して探します。

自分が気になる話題を見つけたら、まずは電話でお話を伺います電話

「どういった内容なのか」「日時はいつなのか」「取材させていただくことはできるか」などをお聞きします。
そして、相手から取材OKがでたら、お伺いする日にちを決めて取材に行きますメモ

取材は基本的に一人で行きます。というのも、まだ正式に番組でご紹介できるか分からない状況だからです。

取材では、色々な情報を集めます。

このときにお話を伺いながら、実際に番組で紹介できるかどうかを考えながらお話を聞きます耳メモ
(取材の仕方については、スクールの受講生のみにお話していますので、ここでは省略させていただきます)

取材から戻ってきたら、集めてきた情報に基づいて提案書を書きます。
その際には「自分がどんなところがおもしろいと思ったのか」についてポイントを整理して書きます。

この提案書が提案会議で提案が通れば、晴れて番組として放送にできます。

相澤静

しかし、この提案会議で提案が通るというのがなかなか難しいのです。
特に取材に慣れていない最初の頃は「どんなものがNHKの番組として成り立つのか」が理解できず、何度も取材に行っては提案する・・・という繰り返しでしたあせる

提案が無事に通過し、いよいよ今度は構成を練る作業に入ります。取材をしてきたら終わりではありません。

ここから次の作業が始まります。

「どんな構成にすれば、視聴者の皆さんが共感する番組になるのか」
「自分が一番伝えたいところを表現するには、どんな演出がいいのか」
「おもしろいと思った部分の見せ方はどうするのか・説明はどうしたら効果的なのか」
あらゆる方向性からアプローチをしていきますひらめき電球

構成は、何度も何度も練り直します。

ディレクター業務

基本的にNHKの地方局では、アナウンサー自らがディレクター業務も兼ねています。

取材に行き、構成を考える他に、出演者への出演依頼や撮影日の調整・スタッフの手配に至るまで、あらゆることをアナウンサーが行います。

宿泊で行く撮影の場合は、宿の手配やお弁当の手配も行います。

大変ではありますが、すべてを自分で行うことの楽しさややりがいを感じると、こういったディレクター業務もできる地方局のアナウンサーの仕事を誇らしく思います

好奇心が旺盛な人ほど、地方局の仕事に向いています。

「番組制作力」が身に付くと、色々な場面で応用できます。

アナウンス業務について

放送局によって異なりますが、ニュースキャスター・情報番組のキャスター・リポーター・ラジオキャスターとあらゆる業務に携わります。

ニュースキャスター

ニュースキャスターは、記者の人が書いたニュース原稿を伝える仕事です。

下読みをするときには、読めない漢字はもちろん、意味の分からない言葉は意味もよく調べます。
アナウンサーがよく理解していない原稿・ニュースは視聴者には伝わらないからです。

情報番組のキャスタ

情報番組のキャスターは、番組の仕切り役です。
番組の中身によっては他人が書いた原稿を読むこともありますが、基本的にコメントは自分で考えます。
そのため、コメント力や時間調整力が問われます。

NHK地方局に限って言いますと、番組の視聴者の年齢層が高いため、幅広い年代の方々に支持されたり共感されるようなコメントを発言しなければなりません。

20代の若い女性アナウンサーが30代以上の主婦の方々やご年配の方々が「へ~」「なるほど~」と思うようなコメントを言わなくてはならないのです。

私は数秒のコメントを上司や責任者のOKが出るまで、何度も何度も考え直しました。慣れないうちはとても大変でしたが、次第とコメントを考える面白さを感じるようになりました。

自分が見つけた話題や感じたことを番組内で発言できることも魅力のひとつです

リポーター

リポーターには2種類あります。

  • 自分自身が出演して伝える中継リポーター
  • 自分自身は声のみの出演のリポーター

①は、皆さんも想像がつくと思います。現場で出演して伝えます。
⓶.は、話題探しから取材・企画・構成までに携わり、出演はせずにナレーションで伝えます。

違いは、出演するかしないかです。自分が出演することで効果的に伝えることができるのか、それとも、出演しないほうが効果的なのか、そこをよく考えて構成を考えます。

ラジオキャスター

ラジオでニュースや天気予報などを伝える仕事です。ニュース原稿を読み、天気予報をお伝えします。

各局によって仕事の組み方は様々ですが、それぞれの業務を1カ月ですべてをこなす仕事の振り分けになっています。

地方局のおもしろさややりがいは、なんと言っても、このようにあらゆる業務に携われるということです。
この点は、キー局にはない地方局の最大の魅力です!

NHK地方局アナウンサーの魅力

NHK地方局アナウンサーはなんと言っても、一番の醍醐味は自分で番組やコーナーを作ることができること。

自分が興味・関心を持った事を取材して、企画し、番組やコーナーとして提案することができます。

私の趣味は料理なのですが、NHK山形放送局時代には、各地の旬の食材を探し出して、生産者の方にその食材の一番おいしい食べ方を教えていただくというコーナーを企画しましたテレビ

紹介する食材を決め、出演していただける方を探し出し、まずは取材へ。

取材では、食材にまつわる話をお聞きし、一番おいしい食べ方を説明していただき、自宅でも簡単にできる調理方法などを教わります。

その取材結果を元に構成&台本を考え、撮影日の設定などを行います。撮影は、小さいカメラを持ってひとりで行きます。

撮影では、自分の思う構図で撮影開始音譜撮影から帰ってきたら、今度は編集作業です。映像が出来上がると同時に、ナレーション原稿も作成しますメモ

もちろん、編集&ナレーション作成は1回で終わることはほぼなく、何度も何度も修正を加えていきます。

こうして出来上がった映像にナレーションを吹き込んで、VTRの完成ですキラキラそして、自分がアナウンサーとして出演している番組で、出来上がったVTRを紹介します。

このような一から自分で番組を作り上げることができることこそ、地方局のアナウンサーならではの魅力です

NHK地方局 私の仕事の経験

NHK地方局で行った仕事の経験を一部紹介します!

番組キャスターの仕事。

一局目のNHK室蘭放送局では、メイン番組のキャスターを担当しました。

ニュースの内容は幅広く、政治・スポーツ・生活情報・天気・・・。多くの話題をお伝えしました。

記者解説のコーナーも担当しました。地域の話題を記者の人と一緒に掘り下げていき、視聴者の皆さんに分かりやすく伝えます。

入局してすぐに担当することになったので、最初は右も左も分からないまま、仕事をこなしていました。

ただニュース原稿を声に出して読めばいいのではなく、分からない漢字があったら辞書で調べ、内容を把握する必要がありました。

そして、VTRと合わせるために自分の読みの時間を編集マンに伝えます。

記者解説では、何度も記者の人と読み合わせを行いました。実際にスタジオでも入念なリハーサルを行います。

アナウンサーが視聴者の代表として記者の人に聞く姿勢が求められました。
ですので、素朴な疑問を記者の人にぶつけたりもしました。

ニュースを伝えるだけでなく、番組の時間調整もアナウンサーの仕事のひとつです。限られた時間で番組を無事に終了するためには、コーナーとコーナーのつなぎは、どのくらいの時間でどんなコメントが必要なのか、自分で考えて判断しなくてはなりません。

この判断を誤ると、時間が足りなくなって、途中でコメントが切れてしまうということもあります。

アナウンサーの仕事は、一見華やかに見えますが、その準備には相当な時間を費やしているのです。

相澤静

メイン番組のキャスターの仕事で一番大変だったのがコメントを考えることです。
ニュース原稿の内容把握以上に大変でしたあせる

リポートの作成

「リポート」というのは、企画のことです。内容にもよるのですが、大体3~8分のリポートです。

リポートは、自分が興味・関心のあることであれば、比較的どんなものでも取材をすることができました。

しかし、慣れないうちは、一体なにをどう取材すればいいのか、なにがNHKの番組としてふさわしいのかが分からず、なかなか提案会議に出すことができず苦労をしました。

リポートの制作は、基本的にアナウンサーが自ら話題を探して取材をして企画します。

しかし、アナウンサーは出演して伝えることが仕事ですので、時には、他のスタッフが制作したリポートに出演することもあります。

その際、制作者が意図することを汲み取って出演することが大切です。

制作者がどういう思いでこの演出をしたのかはてなマーク
制作者の思いはどこにあるのかはてなマーク
制作者の欲しいインタビューを撮影するには、どんな質問が効果的なのかはてなマーク
・・・etc・・・

常に考えて動かなくてはなりません。

アナウンサーが制作者の意図を取り違えて撮影してしまうと、リポートの本質が見えなくなります。

アナウンサーは、様々なことを考えて仕事に臨むことが求められます。

NHKでは一貫して番組作りにテーマがあります。

それは・・・。

「人の思い」にクローズアップすること。

NHKが制作するものは、どんな番組にもそこには、必ず「人の思い」があります。
「人の思い」に焦点を当てた番組を制作しているのです。

最初は難しく感じていましたが、少しずつコツを掴んでくると「人の思い」にクローズアップするNHKの番組作りがおもしろくておもしろくて仕方がなくなったのです。

相澤静


ドンドンドンドン、番組作りにハマっていきましたひらめき電球

生中継の仕事

その中で一番難しかったのは、桜中継です。

中継は、まず、日程が決まっています。その日程に合わせて話題を決めるのです。

春、桜の季節になると、各放送局が桜の話題を取り上げます。

私も、一度、樹齢2000年の桜の木を紹介しました。桜の開花情報を日々チェックして、中継の日にどんなコメントをするのか。どんなストーリー展開にするのか、構成を考えます。

しかし、自然が相手です。中継当日にどこまで桜が咲いているかは、天気や気温によって左右されます。私は、開花情報を元に、ある程度、桜が開花している状況を考えていました。

そして、中継当日は綺麗な桜をテレビの前の皆さんにお伝えしているつもりでした。

しかし・・・。気温はあまり上がらず、結局、中継当日はわずかに一輪咲いただけでした。もちろん、準備段階で「もし桜が咲かなかったときにどうするかはてなマーク」というのも考えていましたが、綺麗な桜の花を期待していただけにとても残念な結果になりました。

生中継はなかなか予定通りにいかないものですが、自然相手の桜中継ほど難しさを感じた中継はありませんでした。

NHK地方局とキー局 地方局の魅力

NHK地方局の魅力をキー局との違いと一緒に紹介をしました。

アナウンサー志望の方の多くは「キー局志望です」と言われることが多いのですが、地方局のアナウンサーもとても魅力的な仕事です。

NHK地方局の仕事についてもっと知りたい方はぜひ体験説明会にご参加下さい。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

相澤静アナウンススクール
LINE公式アカウント

友だち登録特典
「自己紹介&志望動機の作り方」
の動画教材をプレゼント!

相澤静アナウンススクールからの
お知らせなどお届けしています。

LINE公式に友だち登録していただくと、
「体験説明会」が今なら特別価格で受講ができます!

相澤静アナウンススクールLINE公式アカウント
目次